花の癒しとフラワーエッセンス
植物の可能性が最大限に高まり、天とつながった状態である花。
人は、そんな花に無条件に心惹かれます。花に特別な興味のない人でも、花を見て心が和んだり、美しいと思った経験はあるのではないでしょうか。
花を使った癒しは、太古から、大小様々な方法で世界中で行われてきました。
国や時代を超えて、私達は人生のあらゆる場面で、花の癒しを受け取っています。
例えば、墓前に花を飾って祈る行為は、死者だけでなく、残された人をも慰めてくれます。
病気の時に贈られた花からは、元気や安らぎを頂きます。
お祝いや宗教的な儀式、人生の節目の時には、愛、慈悲、勇気といった、私達が本来携えているエッセンシャルな質を喚起してくれます。
私達は、花が心の苦しみや問題を癒すだけでなく、エッセンシャルな質とつなげてくれる普遍的な存在だという事を、深いところで知っているのです。
花が世界に存在する限り、花の癒しが絶える事はないでしょう。
数ある花の癒しの中でもフラワーエッセンスがユニークなのは、見たり、香をかいだり、飾ったり、育てたりといった五感を刺激する方法ではなく、人間の微細なレベル、エネルギーボディー(サトルボディー)に直接働きかけるという点でしょう。
フラワーエッセンスは、花のエネルギー(*)、生命力を純粋な水に転写した「飲む花の意識の水滴」であり、色、香、味等の物理成分によって変化を促すのではありません。しかし、物質レベルを超えたエネルギーレベルで、花が持つ全ての癒しの特質がインプットされているのです。
(*)花のエネルギーについては、講師の別の執筆記事花のエネルギーとはをご参照下さい。
花の魂の周波数であるフラワーエッセンスは、私達の魂がこの地上で表現する普遍的な本質的な質、特質と同調しています。私達が本質からのまっすぐな光線とつながり、自分自身のユニークな個性をとおして、それらをこの世界で表現していけるようサポートしてくれるのです。
フラワーエッセンスの歴史
一般的には、フラワーエッセンスといえば、英国の細菌学者であるエドワード・バッチ博士が、1930年代に開発したのが始まりだと思わています。
しかし、実はそれよりもずっと古より、インド、エジプト、ギリシャ、ロシア、ネイティブアメリカン等の世界で、フラワーエッセンスとそれに近い癒しが行われていました。
花を器に浮かべたり、朝露を飲んだり、蒸気を浴びる儀式や健康法は、フラワーエッセンスの一種だと言えるでしょう。
また、ちょっと神秘的な話になりますが、専門家の中には、フラワーエッセンスがアトランティスやレムリアの時代から存在していたという人も少なくありません。
現在もよく使われているバッチ博士開発のバッチフラワーエッセンスは、大恐慌という時代、病を治す医師という彼の立場が大きく反映し、主に感情や心理レベルに働きかける事を得意としています。
バッチ博士以降、90年代前後から、世界中でたくさんのフラワーエッセンスが共時的に開発され始めました。
これらの新しい時代のフラワーエッセンス達は、ヒーリングやセラピーの変化や進化、瞑想や内的成長への欲求の高まりと共に、それに応えるべく誕生したとも言えるでしょう。
その為、セクシャリティの解放、環境や空間の浄化、物質的豊かさと精神的豊かさの統合、インナーチャイルドや前世の癒し、高次元との同調等、現代人の意識やストレスの複雑化、環境汚染、自己実現や霊的成長への乾きにも対応した、今の時代に必要な種類が多く開発されています。
フラワーエッセンスの作り方
フラワーエッセンスは、花のエネルギーを水に転写する事で作られますが、波動転写機等の機械類を使うのではなく、自然界の目に見える力、そして目に見えない力を頂きます。
現在、世界で最も多く採用されている伝統的な転写法は、バッチ博士が開発した「太陽法」です。
自然界の地、水、火、風の四大元素の力を活かした太陽法では、湧き水を満たしたクリスタルボウルに花弁を浮かべ、大地の上で太陽光にさらしてエネルギーを転写させます。
例えば、インドのブッダフィールドフラワーエッセンス、スコットランドのフィンドホーンフラワーエッセンス等は、太陽法で作られています。
また、私が開発したマウントフジフラワーエッセンスのように、独自の方法を採用しているブランドもあります。
いずれにせよ、伝統的方法であれ斬新な方法であれ、形を超えたものを扱うという点では、共通しているでしょうか。
私自身がとても大切にしているのは、フラワーエッセンスを作る過程ではエゴを脇に置き、行い手から退いて、大いなるもの、存在、宇宙にただ委ねるという在り方です。
実際、フラワーエッセンスを作るのは人間ではありません。
ある種の治療で行うような個人的なパワーを加えるといった行為は、フラワーエッセンスにおいては、むしろひとりでに起こる事を邪魔してしまうように感じます。
フラワーエッセンスを作るプロセスに立ち会う事は、私にとって愛であり、瞑想であり、お祝いであり、遊びです。
成し遂げる者、行為者である「私」がいなくなった時、はじめてやって来る「ギフト」なのです。
フラワーエッセンスの体験
花のように穏やかで無理強いせず、副作用がない事から、一般的にフラワーエッセンスファンには、繊細な方、感受性の鋭い方、女性が多いようです。
また、つらい体験をした時や大きな変容を迎えた時に、使用を始める人も少なくありません。
ただし、フラワーエッセンスは、頼る為の「パワーグッズ」ではありません。
フラワーエッセンスには、使用過程を通して、自分自身との向き合い方に理解をもたらしてくれる、気づきの触媒としての役割もあります。
フラワーエッセンスは、心理、感情、行動、肉体に近いレベルから、夢、出来事、環境迄、広範囲の領域で、個々の人にとって最適の変化を促します。
ですから、同じ目的で同じ種類を使用したとしても、個人によって起こる事が違ったり、意識レベルで望んだものではない変化を受け取る事も少なくありません。
変化の例としては、穴ぐらから出たように前向きな気持ちになったり、キレるとモノを壊していた癖がなくなったり。エネルギーが整えられた事で、肉体的な痛みが瞬時にしてなくなる事もあります。
新しい出会いがあったり、情報や職場等、望んでいた何かが得られたりといった出来事も。
自分自身よりも、周囲の人に変化が起こり驚く事もあるでしょう。
また、長く使用していると、五感を超えた領域にとても敏感になります。
気づきが深まり、自分自身を観照出来るようになるのも、フラワーエッセンスの大きな特徴です。私自身、この気づきの深まりは、とても大切だと感じています。
これからの時代のフラワーエッセンスの役割
私達を取り巻く外側の環境、善悪の判断や価値基準等の条件付けは、時代や場所によって大きく変化してきました。
その反面、お釈迦さまの頃より、いつになってもどこに住んでいても、私達の根本的な心の苦しみや問題は、そんなには変わってはいないとも感じます。
怒り、憎しみ、恐れ、悲しみ……こういった感情を、今迄一度も体験した事がないという人はいません。
2500年前の人々も私達も、人間として生まれ、同じような心の状態を経験しながら、幸せになりたいと願っているのです。
フラワーエッセンスは、ほとんど途絶えた時期もあるものの、長い地球の歴史の中で、必要に応じて私達の霊的成長をサポートしてくれました。
今、フラワーエッセンスは世界的に広まっていますが、これからの時代は、「幸せになりたいと願っている心の先にあるもの」を喚起してくれるフラワーエッセンスが必要とされるのではないか、そう私は感じています。
こういった事はあまり公では言っていないのですが、実はその部分に焦点を合わせた時、マウントフジフラワーエッセンスの開発がスタートしました。
〔執筆者:パビットラ(中沢あつ子)〕
フラワーエッセンス開発者、指導家。富士山周辺に咲く花から、日本で最初にマウントフジフラワーエッセンスを開発。日本におけるフラワーエッセンスの先駆的役割を果たし、ハートサポートシステム(有)にて、フラワーエッセンスによるヒーリングやセラピストの育成に努める。日本フラワーエッセンス協会®会長。著書に「マウントフジフラワーエッセンスとエネルギーの世界―花の”Being”―」、「バッチ博士のフラワーエッセンスガイドブック」(フレグランスジャーナル社刊)がある。