フラワーエッセンスセッション基本内容と姿勢(2)

「心の時代」と言われて久しい昨今において、カウンセリングの重要性は周知の事実となっています。

10年以上も前になりますが、テレビで、様々な現場で働く人達がカウンセリングの技法を学ぶ様子を、いくつかの番組で放映しているのを見ました。
そこでは、カウンセラーだけではなく、医師が患者の話を聴く技法として、また会社で働く中間管理職の人達が部下の悩みを聴く際に必要な技法として、学んでいました。
その時の技法は、90度対面法、うなづき、相槌、オウム返しという基本的でありなおかつ重要なものでした。
これらの技法は、「心」を扱う現場での基盤になるものといえます。

今回は、「フラワーエッセンスのセッションにおけるカウンセリング」という狭義のカウンセリングについて述べたいと思います。

なぜカウンセリングが必要なのか?

フラワーエッセンスは、「心」の領域を癒すと言われています。

フラワーエッセンスを使う時には、その前提として、どのようなテーマで使うのか、どのような理由で使いたいのか、ということが大切になります。
これは言いかえると、自分に相応しいフラワーエッセンスを選ぶためには、自分の「心」の状態をじっくりと見つめる必要があるという事です。

ですが、「心」が、多岐に渡る社会的活動の場で、様々な悩みや心のしがらみという課題を複数抱えた状態になる事が非常に多い為、漠然と「自分に必要なフラワーエッセンス」を選ぼうと思っても、選べない方々が非常に多いという現実があります。

そのような時にフラワーエッセンスの専門家のところに行くわけですが、フラワーエッセンスを的確に選ぶという視点において、まずはカウンセリングの基盤が重要になってきます。

これは、フラワーエッセンスの専門家による本格的なセッションだけでなく、店頭でのフラワーエッセンスの販売において、カウンセリングの基本的姿勢を見につけている方のところにリピーターとして通うお客様が少なくないという事実からも、容易に推測できると思います。

カウンセリングとコンサルテーションやアドバイスとの違い

まずここで、カウンセリングとコンサルテーションやアドバイスとの違いを、言葉の定義として述べてみたいと思います。
それは、今現在、それらの言葉が非常に混同した意味合いを持って使われている為に、共通の認識の上で話を進める必要性があるからです。

ここで、話を簡潔にするために、弊社の「フラワーエッセンスプロ養成講座」のテキストから簡単に抜粋します。

  • カウンセリング

クライエントに主導権がある。問題の解決だけではなく、クライエントのあらゆるレベルでの成長を目指すもの。感情的な面も重要視する。対等関係で、双方向的。

  • コンサルテーション

セラピストに主導権がある。知識、経験、価値観をもとに、クライエントを指導する。知的。問題の解決を主眼とする。一般的回答。上下関係で、一方向的。
*フラワーエッセンスのセッションではこれら2つの要素があるが、基本的姿勢としては、カウンセリングの姿勢と態度が大切。

また、アドバイスとは「助言」です。

これらの言葉をわかりやすくする為に、セラピストの「聴く」ことと「話す」ことを二分化して述べたいと思います。

セラピストの「聴く」姿勢は、カウンセリングでもコンサルテーションやアドバイスでも、「傾聴」の二文字で代表される聴き方が重要になります。
ですから、「聴く」姿勢は現実的には内容が異なる場合がありますが、基本的には3つともほぼ同じということにして話を進めます。
(「傾聴」については、広義のカウンセリングの説明になりますので、ここでは割愛させていただきます。)

これらの言葉の示す内容の違いの大きな側面として、セッションにおけるセラピストの在り方というものが挙げられます。
(実際には、セッションの組み立て方も異なってくるのですが、この点については今回は省略します。)

人は、悩んだ時は、一人で考えて決断します。
一人で決断できなくなった時に、家族や友人に相談します。成人の場合は、本来は自分一人で決断することが自然な状態と位置づけます。
そして、家族や知人に相談しても解決できない時、親しいからこそ話せない時に、セッションを受けようと思います。

カウンセリングは、その人が自分一人で決断できなくなってしまったという状態を、改善すべき至らなさ、問題とみなすのではなく、目の前のその状態を、そのままに受け止めます。
ですから、非常にわかりやすい例で述べますならば、財布を落として帰りの電車賃がなく困っている人に、何故そんな事になったのかを問い正したり、かわいそうにと思って電車賃を貸すことは、カウンセリングの在り方ではありません。

カウンセリングは、クライエントが「今ここ」の自分を「ありのまま」に受け入れる作業を、セラピストがクライエントの傍らで共に「今ここ」に「いる」作業です。

ですが、カウンセリングは、言葉の説明だけでは理解できません。
それは、心理学とカウンセリングは別なものであると言われるように、また、水泳の本を何十冊読んでも水泳がちっとも上達しないと同じように、「体験学習」でしか学べないものだからです。

人は、社会的動物です。
自分が生まれた社会に適応するために、様々な事柄を学びます。
大人になると、それが条件付けとなって、自分で自分を律するようになります。
この社会的条件付けが、時には心の自縛となり、人生を複雑で痛みのあるものにしてしまったり、自分で自分をがんじがらめにしてしまう場合さえあります。

また、自我の特性として、どのような場合でも、最終的には自分が一番正しいと思うことによって、自我の安全と安定を確保します。
ですから、自我は、基本的には、自分の心の中の否定的なものを見ることを避けます。
そして、否定的な物事の原因は、自分以外の他者にあるとし、他者を非難攻撃することによって、自らの心の内側を見る行為から逃れようとします。

いわゆるトラウマ(心的外傷)においては、見たくない、思い出したくないようなつらい痛みの体験を心の奥底にしまいこんでしまい、無意識に追いやることによって、見ることもなく、思い出すことのない安全で安定した状態を維持しようとします。

このような、自我の安全と安定が維持できている時は、自分自身で決断できます。
つまり、自分自身で決断できなくなったという状態は、自我が安全と安定を維持できなくなっている状態でもあるといえます。

この状態を、どのように捉えるかが、カウンセリングとコンサルテーションやアドバイスとの分岐点になります。

カウンセリングは、心の内側をじっくりと見つめて欲しいという無意識からの希求・叫びを自我が抑えきれない状態と受け止め、クライエントが「今ここ」の自分を「ありのまま」に「見る」、または見ようとすることを尊重します。それは、心の自然治癒力の発動でもあります。

フラワーエッセンスにふさわしいカウンセリングの技法

カウンセリングと一言で申し上げましても、今現在は様々なカウンセリングの技法があります。
私個人の経験からみて、ロジャーズ理論にもとづく来談者中心療法を基盤とする事が、セッションにおいて様々な技法を使いこなしていく上でも、有益で役立つ基本中の基本であると考えます。

フラワーエッセンスのセッションに来られる方々の特徴として、非常に繊細な方々が多い、という特徴を注意深く考慮するならば、「共感・積極的関心・自己一致」というカウンセラーの3つの条件と共に、「判断しない」という姿勢の重要性を強調したいと思います。

*よろしければ、フラワーエッセンスに関するご質問の全般内、【質問11】も参考になさって下さい。

〔執筆者:山崎芳伸(サンバド)〕

フラワーエッセンス開発者、指導家。富士山の麓で生まれ育つ。小さい頃、家の近くの麦畑に立つと、足元から富士山の頂上までに家が一軒もない茫茫とした風景が原体験となっている。
富士山周辺に咲く花から日本で最初にマウントフジフラワーエッセンスを開発。日本で初めてバッチフラワーを導入。日本におけるフラワーエッセンスの先駆的役割を果たし、ハートサポートシステム(有)にて、フラワーエッセンスを用いた各種セラピー、セラピストの育成、開発等に努める。フラワーエッセンスの教育では、来談者中心療法を基本としたカウンセリングの講義と実技を指導。
また、心理療法、カウンセリング、ボディワーク、メタフィジカルワークの現場でも活動してきた多彩な経験から、海外のフラワーエッセンス開発者のトレーニングプログラムの構築を援助した経験も持つ。
ハートサポートシステム(有)代表取締役。
大学では、仏教とインド哲学を学ぶ。大学在学中に、ユング派の秋山さと子先生の元でユング心理学を学び、大学内にてユング心理学同好会を主催する。卒業の1ヵ月後にインドに長期滞在し、以後、定期的に渡印しながら、自己の探求を続けると共に、国内外で、様々な心理療法、カウンセリング、ボディワーク、メタフィジカルワークを習得する。