うつ対応の臨床例「マウントフジフラワーエッセンスを使ったフラワーエッセンスセラピー™」

はじめに

ハートサポートシステム(有)では、フラワーエッセンスを補助的に扱うのではなく、独立した心理療法として体系化したフラワーエッセンスセラピー™を、1980年代後半より提供しています。

心の領域に作用するフラワーエッセンスの特徴から、精神疾患を持つクライエントに対応する事は少なくありません。

2005年のヒーリングハーブ社(バッチフラワーエッセンス)J.バーナード氏の来日セミナーで、精神科医の方が「うちに来る患者さんはマウントフジフラワーエッセンスを使っている人が多い」と話されたのをお聞きし、直接お話する機会はなかったのですが、医療現場から改めて現状を実感させて頂きました。

あれから6年以上が経過し、精神疾患を持つクライエントは増えています。

フラワーエッセンスとお薬を併用するクライエントに対応する際、心を扱うフラワーエッセンスセラピー™と病理を治す医療との立ち位置を意識しておく事は大切です。
診断名を付けたり、病理を治せると伝えたり、医療を否定する事はクライエントの混乱を招きます。

30代女性のケース

無職。母親と同居。
幼少期に母親から心理的虐待に合う。
専門職で成功していたが、ある事を機に鬱になる。
経済的支えの担い手がクライエントから母親に変わる。
同時期、転居による環境変化もあり。
2年間メンタルクリニックに通院。月2回程度。睡眠薬、抗鬱薬、抗不安薬、抗精神病薬、胃薬を使用。
自宅療養中。食事、買物等の外出はする。

セッションに来た動機

ある事を機に、自分はどんな人間でどう生きていいのか分からなくなった。
それ迄上手くいっていたのに、何故そうなってしまったのかわからない。
本等を読み、自分の中で抑えてきた事が臨界点に達したのではないかと思っている。

昼前後に起床し、眠気覚ましにカフェイン(第3類医薬品)を摂取。
生活リズムが悪循環に陥っている。
いずれ仕事を再開したいが、まずは生活リズムを立て直したい。

友人の勧めでマウントフジフラワーエッセンスを使用し、変化を感じている。

セッションの流れ

〔カウンセリング〕

クライエントは過去よりも今の状態を話す事に時間をとり、前を向きつつある様子が伺えた。
良くなってきている現状維持を前提に、「まず生活リズムを立て直す」というクライエントのテーマは現実に即したものであると肯定する。

朝起きられないと言うクライエントに、弊社に来るには早起きする必要があり、今日、既に早起き出来ている事実を伝えた。
鬱には日々波があり、外出出来る時=元気な時である。
出来ている事に自然に目を向けられるよう配慮する。

カフェインを摂取している(主治医に伝えていない)事から、眠剤の作用が翌朝迄残っている可能性を考え、主治医に話し、お薬について再検討頂くよう提案した。

【留意点】

  • 事前に主治医の許可をとって頂く。
  • 必要な情報収集をする。

例:
自殺を考えた事、しようとした事があるか。

  • 現状を下げる危険性のある事はしない。
    現状維持を基本に心がける。

例:
気持の扱い方を誤ると、辛い感情や否定的思考に焦点が合い問題が大きくなる。(自己を掘り下げる→辛さが増す)
基準の高いテーマは、出来なかった時に落込んで悪化する。

  • 主治医に伝えた方がよい事があれば、伝え方を提案する。

〔マウントフジフラワーエッセンス選択(リーディング)とメタフィジカルワーク〕

フラワーエッセンスセラピー™では、サトルアナトミー理論―エネルギーボディー(サトルボディー)、チャクラ等―、メタフィジカルワークを取り入れている。
文字数の都合で関連情報のみ簡単に記す 。
(表1参照)

*サトルアナトミー理論の詳細は、パビットラのメルマガ連載記事からの役立つ情報内、「エネルギーボディー(サトルボディー)とチャクラ」の項目をご参照下さい。

エネルギーボディー(サトルボディー)・チャクラの7つの次元(表1)

領域
名称 エネルギーボディー(サトルボディー)
キーワード エネルギーボディー(サトルボディー)
名称 チャクラ
キーワード チャクラ
全体性へと開かれる領域、天第7身体(ニルヴァーナ体)消滅、非実存、究極の死、完全なる空第7チャクラ(サハスラーラ)頭頂統合、完成、解放、超越
第6身体(コズミック体)実存、在る事、外的宇宙、全体性第6チャクラ(アジナ)眉間観照、気づき、明晰性、智慧
第5身体(スピリチュアル体)覚醒、自己認知、内的宇宙、究極の主体第5チャクラ(ヴィシュッダ)喉理想、天命、創造性、大いなる意志
天と地を仲介する領域第4身体(メンタル体)精神活動・・・想像、空想、超常、夢第4チャクラ(アナハタ)胸無条件の愛、受容、ありのままを抱きしめる、平和
個人の領域、地上第3身体(アストラル体)考える事・・・想念、思考、自己イメージ、人格第3チャクラ(マニプラ)鳩尾思考、自立、知性、力
第2身体(エーテル体)感じる事・・・肉体感覚、感情、官能性、親密さ第2チャクラ(スヴァディスターナ)腹感情、共感、感受性、心地よさ
第1身体(フィジカル体)肉体第1チャクラ(ムラダーラ)尾低骨生命力、生存本能、野生、グラウンディング

ベッドに寝たクライエントのエネルギーボディー(サトルボディー)状態を確認した。

第2身体(親密さを司る)の偏り、第3身体(自己イメージを司る)の緊張が見られる。

これらの身体には両極性がある。
第2身体(独りでいる⇔他者といる)、第3身体(活動⇔休息)の両極の「葛藤」の中で、自分自身を模索している様子が感じられた。

突っ走る事で成功して来たクライエントにとって、自分の感情を許し、強さと弱さのまるごとを承認する過程であるようにも感じられた。

また、本来は補い合う第2チャクラ(下腹部に位置し感情や共感を司る)⇔第3チャクラ(鳩尾に位置し思考や自立を司る)にも「葛藤」が起こっている。
消化機能とも関る第3チャクラは、お薬やカフェイン摂取によって弱ってもいる。

テーマ「生活リズムを立て直す」の背後には、眠り(眠剤)⇔覚醒(カフェイン)の「葛藤」があるが、「葛藤」というキーワードが現れてきたのは興味深い。

マウントフジフラワーエッセンスとエネルギーペネトレーションペンダント(メタフィジカルワークのツール)を使い、クライエントのエネルギーポイント(チャクラ等)に花の生命力を浸透させ、「葛藤」を和らげる。深いリラックスに入った後、不眠のクライエントが鼾をかく。

最後にミックスボトルを用いて、間接的にイメージを肯定的に書き換える誘導も行う。

〔シェアリング〕

テーマ、選ばれたマウントフジフラワーエッセンス、働きかけたエネルギーポイントから、クライエントを援助する表現を意識して見立てを伝え、話し合う。

無理なく出来る、肯定的イメージを広げるミックスボトルを使ったリラクセーション、左右の脳のバランスをとる軽体操も紹介する。

  • マウントフジフラワーエッセンスの種類と働きかけたエネルギーポイント
  • 母、幼子、新婦、処女性等の女性性や母性
  • 甘える、受容、手放す、委ねる等の弱さや脱力
  • 過去や集団
  • に関係するマウントフジフラワーエッセンスが選ばれた。

【第2チャクラ】

  • ハハコグサ
    母の愛。母性的な愛に甘える。内なる子供の慰め。愛情への恐れに。幼少期のトラウマに。
  • ボタンヅル
    純潔。幼子のような純粋さの受容。人格、役割、経験に依らない内奥の純粋性。新婦の純白。感受性の抑圧に。

【第3チャクラ】

  • ヒレハリソウ
    修復。回復と再生。処女性。ショック、トラウマ、長期のストレスに。依存的傾向に。
  • ヤマザクラ
    レットゴー。過去の傷を手放す。変化の中で生きながら出来事を観照する。過去、集合的な癒しに。

【第4チャクラ】
(胸部に位置し、全面的な受容、普遍的愛を司る。葛藤の仲裁役)

  • ハリエンジュ
    聖なる酔っ払い。大きな流れを信頼し委ねる。楽天性。自分を追い立てる傾向に。生への無常感に。

その後

3週間~3カ月後:
気持が楽になってきた。
あまりよくなかった母親との関係が落ち着いてきたのは大きな変化。
回復を焦り、ある本に載っていた方法(鬱に不向)を行って落込んだが、マウントフジフラワーエッセンスで立て直せた。
処方が変更され、減薬された。
外出がより出来るようになり、翌日に疲れなくなってきた。
ミックスボトル3本使用後は自分でマウントフジフラワーエッセンスを選んでいる。

おわりに

うつを始めとする精神疾患のあるクライエントは、対面セッションでは全体の約1/3、お手紙による相談では半数以上を占めています。
ハートサポートシステムでは、フラワーエッセンスセラピー™を受ける際、事前に主治医の許可を頂くようご案内しています。
代替療法等に理解のあるクリニックを選んでおられるのかもしれませんが、「あなたが良いと思われる事をしなさい」と主治医に言われるクライエントが多くおられます。

メタフィジカルな次元に働きかけるフラワーエッセンスについて、フラワーエッセンスだけの作用を科学的に証明する事は出来ません。
ただ、クライエントに変化が生じている事から、フラワーエッセンスセラピー™を受けて日常でマウントフジフラワーエッセンスを使用する事が、何らかの役には立っているのではないかと思っています。

減薬等の実際的な事柄の他、特徴として挙げられるのは、症状に対する認識の変化です。自分自身に起こっている不調和な状態に同化していたところから、少し離れて観ていられるスペースが生まれ、病気との付き合い方が楽になるようです。
自分自身や人生への認識の仕方にも、おおらかさが生まれます。

また、私達がメンタルな領域でバランスを崩す多くの場合には、人間関係が関係しています。
そんな状態の時には、他者からのダイレクトな働きかけが、時にはきついと感じる事もあるでしょう。

自然界に寄り添って生き、私達を裁いたり追い詰めたりしない花という存在―。
そんな花の生命力がクライエントとの間に介在する事で、その人本来の自然さが、素直に楽に開花しやすくもしてくれるのではないかと感じています。

〔執筆者:パビットラ(中沢あつ子)〕
フラワーエッセンス開発者、指導家。富士山周辺に咲く花から日本で最初にマウントフジフラワーエッセンスを開発。日本で初めてバッチフラワーエッセンスを導入。日本におけるフラワーエッセンスの先駆的役割を果たし、ハートサポートシステム(有)にて、フラワーエッセンスを用いた各種セラピー、セラピストの育成、執筆、開発等に努める。ハートサポートシステム(有)取締役。日本フラワーエッセンス協会®会長。著書に「マウントフジフラワーエッセンスとエネルギーの世界―花の”Being”―」、海外翻訳もされた日本人初のバッチフラワーエッセンスの書籍「バッチ博士のフラワーエッセンスガイドブック」(共にフレグランスジャーナル社刊)がある。