うつ対応の臨床例「マウントフジフラワーエッセンスを使ったフラワーエッセンスセラピー™」

はじめに

ハートサポートシステム(有)では、フラワーエッセンスを補助的に扱うのではなく、独立した心理療法として体系化したフラワーエッセンスセラピー™を、1980年代後半より提供しています。

心の領域に作用するフラワーエッセンスの特徴から、精神疾患を持つクライエントに対応する事は少なくありません。

2005年のヒーリングハーブ社(バッチフラワーエッセンス)J.バーナード氏の来日セミナーで、精神科医の方が「うちに来る患者さんはマウントフジフラワーエッセンスを使っている人が多い」と話されたのをお聞きし、直接お話する機会はなかったのですが、医療現場から改めて現状を実感させて頂きました。

あれから6年以上が経過し、精神疾患を持つクライエントは増えています。

フラワーエッセンスとお薬を併用するクライエントに対応する際、心を扱うフラワーエッセンスセラピー™と病理を治す医療との立ち位置を意識しておく事は大切です。
診断名を付けたり、病理を治せると伝えたり、医療を否定する事はクライエントの混乱を招きます。

30代女性のケース

無職。母親と同居。
幼少期に母親から心理的虐待に合う。
専門職で成功していたが、ある事を機に鬱になる。
経済的支えの担い手がクライエントから母親に変わる。
同時期、転居による環境変化もあり。
2年間メンタルクリニックに通院。月2回程度。睡眠薬、抗鬱薬、抗不安薬、抗精神病薬、胃薬を使用。
自宅療養中。食事、買物等の外出はする。

セッションに来た動機

ある事を機に、自分はどんな人間でどう生きていいのか分からなくなった。
それ迄上手くいっていたのに、何故そうなってしまったのかわからない。
本等を読み、自分の中で抑えてきた事が臨界点に達したのではないかと思っている。

昼前後に起床し、眠気覚ましにカフェイン(第3類医薬品)を摂取。
生活リズムが悪循環に陥っている。
いずれ仕事を再開したいが、まずは生活リズムを立て直したい。

友人の勧めでマウントフジフラワーエッセンスを使用し、変化を感じている。

セッションの流れ

〔カウンセリング〕

クライエントは過去よりも今の状態を話す事に時間をとり、前を向きつつある様子が伺えた。
良くなってきている現状維持を前提に、「まず生活リズムを立て直す」というクライエントのテーマは現実に即したものであると肯定する。

朝起きられないと言うクライエントに、弊社に来るには早起きする必要があり、今日、既に早起き出来ている事実を伝えた。
鬱には日々波があり、外出出来る時=元気な時である。
出来ている事に自然に目を向けられるよう配慮する。

カフェインを摂取している(主治医に伝えていない)事から、眠剤の作用が翌朝迄残っている可能性を考え、主治医に話し、お薬について再検討頂くよう提案した。

【留意点】

  • 事前に主治医の許可をとって頂く。
  • 必要な情報収集をする。

例:
自殺を考えた事、しようとした事があるか。

  • 現状を下げる危険性のある事はしない。
    現状維持を基本に心がける。

例:
気持の扱い方を誤ると、辛い感情や否定的思考に焦点が合い問題が大きくなる。(自己を掘り下げる→辛さが増す)
基準の高いテーマは、出来なかった時に落込んで悪化する。

  • 主治医に伝えた方がよい事があれば、伝え方を提案する。

〔マウントフジフラワーエッセンス選択(リーディング)とメタフィジカルワーク〕

フラワーエッセンスセラピー™では、サトルアナトミー理論―エネルギーボディー(サトルボディー)、チャクラ等―、メタフィジカルワークを取り入れている。
文字数の都合で関連情報のみ簡単に記す 。
(表1参照)

*サトルアナトミー理論の詳細は、パビットラのメルマガ連載記事からの役立つ情報内、「エネルギーボディー(サトルボディー)とチャクラ」の項目をご参照下さい。

エネルギーボディー(サトルボディー)・チャクラの7つの次元(表1)

領域
名称 エネルギーボディー(サトルボディー)
キーワード エネルギーボディー(サトルボディー)
名称 チャクラ
キーワード チャクラ
全体性へと開かれる領域、天第7身体(ニルヴァーナ体)消滅、非実存、究極の死、完全なる空第7チャクラ(サハスラーラ)頭頂統合、完成、解放、超越
第6身体(コズミック体)実存、在る事、外的宇宙、全体性第6チャクラ(アジナ)眉間観照、気づき、明晰性、智慧
第5身体(スピリチュアル体)覚醒、自己認知、内的宇宙、究極の主体第5チャクラ(ヴィシュッダ)喉理想、天命、創造性、大いなる意志
天と地を仲介する領域第4身体(メンタル体)精神活動・・・想像、空想、超常、夢第4チャクラ(アナハタ)胸無条件の愛、受容、ありのままを抱きしめる、平和
個人の領域、地上第3身体(アストラル体)考える事・・・想念、思考、自己イメージ、人格第3チャクラ(マニプラ)鳩尾思考、自立、知性、力
第2身体(エーテル体)感じる事・・・肉体感覚、感情、官能性、親密さ第2チャクラ(スヴァディスターナ)腹感情、共感、感受性、心地よさ
第1身体(フィジカル体)肉体第1チャクラ(ムラダーラ)尾低骨生命力、生存本能、野生、グラウンディング

ベッドに寝たクライエントのエネルギーボディー(サトルボディー)状態を確認した。

第2身体(親密さを司る)の偏り、第3身体(自己イメージを司る)の緊張が見られる。

これらの身体には両極性がある。
第2身体(独りでいる⇔他者といる)、第3身体(活動⇔休息)の両極の「葛藤」の中で、自分自身を模索している様子が感じられた。

突っ走る事で成功して来たクライエントにとって、自分の感情を許し、強さと弱さのまるごとを承認する過程であるようにも感じられた。

また、本来は補い合う第2チャクラ(下腹部に位置し感情や共感を司る)⇔第3チャクラ(鳩尾に位置し思考や自立を司る)にも「葛藤」が起こっている。
消化機能とも関る第3チャクラは、お薬やカフェイン摂取によって弱ってもいる。

テーマ「生活リズムを立て直す」の背後には、眠り(眠剤)⇔覚醒(カフェイン)の「葛藤」があるが、「葛藤」というキーワードが現れてきたのは興味深い。

マウントフジフラワーエッセンスとエネルギーペネトレーションペンダント(メタフィジカルワークのツール)を使い、クライエントのエネルギーポイント(チャクラ等)に花の生命力を浸透させ、「葛藤」を和らげる。深いリラックスに入った後、不眠のクライエントが鼾をかく。

最後にミックスボトルを用いて、間接的にイメージを肯定的に書き換える誘導も行う。

〔シェアリング〕

テーマ、選ばれたマウントフジフラワーエッセンス、働きかけたエネルギーポイントから、クライエントを援助する表現を意識して見立てを伝え、話し合う。

無理なく出来る、肯定的イメージを広げるミックスボトルを使ったリラクセーション、左右の脳のバランスをとる軽体操も紹介する。

  • マウントフジフラワーエッセンスの種類と働きかけたエネルギーポイント
  • 母、幼子、新婦、処女性等の女性性や母性
  • 甘える、受容、手放す、委ねる等の弱さや脱力
  • 過去や集団
  • に関係するマウントフジフラワーエッセンスが選ばれた。

【第2チャクラ】

  • ハハコグサ
    母の愛。母性的な愛に甘える。内なる子供の慰め。愛情への恐れに。幼少期のトラウマに。
  • ボタンヅル
    純潔。幼子のような純粋さの受容。人格、役割、経験に依らない内奥の純粋性。新婦の純白。感受性の抑圧に。

【第3チャクラ】

  • ヒレハリソウ
    修復。回復と再生。処女性。ショック、トラウマ、長期のストレスに。依存的傾向に。
  • ヤマザクラ
    レットゴー。過去の傷を手放す。変化の中で生きながら出来事を観照する。過去、集合的な癒しに。

【第4チャクラ】
(胸部に位置し、全面的な受容、普遍的愛を司る。葛藤の仲裁役)

  • ハリエンジュ
    聖なる酔っ払い。大きな流れを信頼し委ねる。楽天性。自分を追い立てる傾向に。生への無常感に。

その後

3週間~3カ月後:
気持が楽になってきた。
あまりよくなかった母親との関係が落ち着いてきたのは大きな変化。
回復を焦り、ある本に載っていた方法(鬱に不向)を行って落込んだが、マウントフジフラワーエッセンスで立て直せた。
処方が変更され、減薬された。
外出がより出来るようになり、翌日に疲れなくなってきた。
ミックスボトル3本使用後は自分でマウントフジフラワーエッセンスを選んでいる。

おわりに

うつを始めとする精神疾患のあるクライエントは、対面セッションでは全体の約1/3、お手紙による相談では半数以上を占めています。
ハートサポートシステムでは、フラワーエッセンスセラピー™を受ける際、事前に主治医の許可を頂くようご案内しています。
代替療法等に理解のあるクリニックを選んでおられるのかもしれませんが、「あなたが良いと思われる事をしなさい」と主治医に言われるクライエントが多くおられます。

メタフィジカルな次元に働きかけるフラワーエッセンスについて、フラワーエッセンスだけの作用を科学的に証明する事は出来ません。
ただ、クライエントに変化が生じている事から、フラワーエッセンスセラピー™を受けて日常でマウントフジフラワーエッセンスを使用する事が、何らかの役には立っているのではないかと思っています。

減薬等の実際的な事柄の他、特徴として挙げられるのは、症状に対する認識の変化です。自分自身に起こっている不調和な状態に同化していたところから、少し離れて観ていられるスペースが生まれ、病気との付き合い方が楽になるようです。
自分自身や人生への認識の仕方にも、おおらかさが生まれます。

また、私達がメンタルな領域でバランスを崩す多くの場合には、人間関係が関係しています。
そんな状態の時には、他者からのダイレクトな働きかけが、時にはきついと感じる事もあるでしょう。

自然界に寄り添って生き、私達を裁いたり追い詰めたりしない花という存在―。
そんな花の生命力がクライエントとの間に介在する事で、その人本来の自然さが、素直に楽に開花しやすくもしてくれるのではないかと感じています。

〔執筆者:パビットラ(中沢あつ子)〕
フラワーエッセンス開発者、指導家。富士山周辺に咲く花から日本で最初にマウントフジフラワーエッセンスを開発。日本で初めてバッチフラワーエッセンスを導入。日本におけるフラワーエッセンスの先駆的役割を果たし、ハートサポートシステム(有)にて、フラワーエッセンスを用いた各種セラピー、セラピストの育成、執筆、開発等に努める。ハートサポートシステム(有)取締役。日本フラワーエッセンス協会®会長。著書に「マウントフジフラワーエッセンスとエネルギーの世界―花の”Being”―」、海外翻訳もされた日本人初のバッチフラワーエッセンスの書籍「バッチ博士のフラワーエッセンスガイドブック」(共にフレグランスジャーナル社刊)がある。

フラワーエッセンスセッション基本内容と姿勢(2)

「心の時代」と言われて久しい昨今において、カウンセリングの重要性は周知の事実となっています。

10年以上も前になりますが、テレビで、様々な現場で働く人達がカウンセリングの技法を学ぶ様子を、いくつかの番組で放映しているのを見ました。
そこでは、カウンセラーだけではなく、医師が患者の話を聴く技法として、また会社で働く中間管理職の人達が部下の悩みを聴く際に必要な技法として、学んでいました。
その時の技法は、90度対面法、うなづき、相槌、オウム返しという基本的でありなおかつ重要なものでした。
これらの技法は、「心」を扱う現場での基盤になるものといえます。

今回は、「フラワーエッセンスのセッションにおけるカウンセリング」という狭義のカウンセリングについて述べたいと思います。

なぜカウンセリングが必要なのか?

フラワーエッセンスは、「心」の領域を癒すと言われています。

フラワーエッセンスを使う時には、その前提として、どのようなテーマで使うのか、どのような理由で使いたいのか、ということが大切になります。
これは言いかえると、自分に相応しいフラワーエッセンスを選ぶためには、自分の「心」の状態をじっくりと見つめる必要があるという事です。

ですが、「心」が、多岐に渡る社会的活動の場で、様々な悩みや心のしがらみという課題を複数抱えた状態になる事が非常に多い為、漠然と「自分に必要なフラワーエッセンス」を選ぼうと思っても、選べない方々が非常に多いという現実があります。

そのような時にフラワーエッセンスの専門家のところに行くわけですが、フラワーエッセンスを的確に選ぶという視点において、まずはカウンセリングの基盤が重要になってきます。

これは、フラワーエッセンスの専門家による本格的なセッションだけでなく、店頭でのフラワーエッセンスの販売において、カウンセリングの基本的姿勢を見につけている方のところにリピーターとして通うお客様が少なくないという事実からも、容易に推測できると思います。

カウンセリングとコンサルテーションやアドバイスとの違い

まずここで、カウンセリングとコンサルテーションやアドバイスとの違いを、言葉の定義として述べてみたいと思います。
それは、今現在、それらの言葉が非常に混同した意味合いを持って使われている為に、共通の認識の上で話を進める必要性があるからです。

ここで、話を簡潔にするために、弊社の「フラワーエッセンスプロ養成講座」のテキストから簡単に抜粋します。

  • カウンセリング

クライエントに主導権がある。問題の解決だけではなく、クライエントのあらゆるレベルでの成長を目指すもの。感情的な面も重要視する。対等関係で、双方向的。

  • コンサルテーション

セラピストに主導権がある。知識、経験、価値観をもとに、クライエントを指導する。知的。問題の解決を主眼とする。一般的回答。上下関係で、一方向的。
*フラワーエッセンスのセッションではこれら2つの要素があるが、基本的姿勢としては、カウンセリングの姿勢と態度が大切。

また、アドバイスとは「助言」です。

これらの言葉をわかりやすくする為に、セラピストの「聴く」ことと「話す」ことを二分化して述べたいと思います。

セラピストの「聴く」姿勢は、カウンセリングでもコンサルテーションやアドバイスでも、「傾聴」の二文字で代表される聴き方が重要になります。
ですから、「聴く」姿勢は現実的には内容が異なる場合がありますが、基本的には3つともほぼ同じということにして話を進めます。
(「傾聴」については、広義のカウンセリングの説明になりますので、ここでは割愛させていただきます。)

これらの言葉の示す内容の違いの大きな側面として、セッションにおけるセラピストの在り方というものが挙げられます。
(実際には、セッションの組み立て方も異なってくるのですが、この点については今回は省略します。)

人は、悩んだ時は、一人で考えて決断します。
一人で決断できなくなった時に、家族や友人に相談します。成人の場合は、本来は自分一人で決断することが自然な状態と位置づけます。
そして、家族や知人に相談しても解決できない時、親しいからこそ話せない時に、セッションを受けようと思います。

カウンセリングは、その人が自分一人で決断できなくなってしまったという状態を、改善すべき至らなさ、問題とみなすのではなく、目の前のその状態を、そのままに受け止めます。
ですから、非常にわかりやすい例で述べますならば、財布を落として帰りの電車賃がなく困っている人に、何故そんな事になったのかを問い正したり、かわいそうにと思って電車賃を貸すことは、カウンセリングの在り方ではありません。

カウンセリングは、クライエントが「今ここ」の自分を「ありのまま」に受け入れる作業を、セラピストがクライエントの傍らで共に「今ここ」に「いる」作業です。

ですが、カウンセリングは、言葉の説明だけでは理解できません。
それは、心理学とカウンセリングは別なものであると言われるように、また、水泳の本を何十冊読んでも水泳がちっとも上達しないと同じように、「体験学習」でしか学べないものだからです。

人は、社会的動物です。
自分が生まれた社会に適応するために、様々な事柄を学びます。
大人になると、それが条件付けとなって、自分で自分を律するようになります。
この社会的条件付けが、時には心の自縛となり、人生を複雑で痛みのあるものにしてしまったり、自分で自分をがんじがらめにしてしまう場合さえあります。

また、自我の特性として、どのような場合でも、最終的には自分が一番正しいと思うことによって、自我の安全と安定を確保します。
ですから、自我は、基本的には、自分の心の中の否定的なものを見ることを避けます。
そして、否定的な物事の原因は、自分以外の他者にあるとし、他者を非難攻撃することによって、自らの心の内側を見る行為から逃れようとします。

いわゆるトラウマ(心的外傷)においては、見たくない、思い出したくないようなつらい痛みの体験を心の奥底にしまいこんでしまい、無意識に追いやることによって、見ることもなく、思い出すことのない安全で安定した状態を維持しようとします。

このような、自我の安全と安定が維持できている時は、自分自身で決断できます。
つまり、自分自身で決断できなくなったという状態は、自我が安全と安定を維持できなくなっている状態でもあるといえます。

この状態を、どのように捉えるかが、カウンセリングとコンサルテーションやアドバイスとの分岐点になります。

カウンセリングは、心の内側をじっくりと見つめて欲しいという無意識からの希求・叫びを自我が抑えきれない状態と受け止め、クライエントが「今ここ」の自分を「ありのまま」に「見る」、または見ようとすることを尊重します。それは、心の自然治癒力の発動でもあります。

フラワーエッセンスにふさわしいカウンセリングの技法

カウンセリングと一言で申し上げましても、今現在は様々なカウンセリングの技法があります。
私個人の経験からみて、ロジャーズ理論にもとづく来談者中心療法を基盤とする事が、セッションにおいて様々な技法を使いこなしていく上でも、有益で役立つ基本中の基本であると考えます。

フラワーエッセンスのセッションに来られる方々の特徴として、非常に繊細な方々が多い、という特徴を注意深く考慮するならば、「共感・積極的関心・自己一致」というカウンセラーの3つの条件と共に、「判断しない」という姿勢の重要性を強調したいと思います。

*よろしければ、フラワーエッセンスに関するご質問の全般内、【質問11】も参考になさって下さい。

〔執筆者:山崎芳伸(サンバド)〕

フラワーエッセンス開発者、指導家。富士山の麓で生まれ育つ。小さい頃、家の近くの麦畑に立つと、足元から富士山の頂上までに家が一軒もない茫茫とした風景が原体験となっている。
富士山周辺に咲く花から日本で最初にマウントフジフラワーエッセンスを開発。日本で初めてバッチフラワーを導入。日本におけるフラワーエッセンスの先駆的役割を果たし、ハートサポートシステム(有)にて、フラワーエッセンスを用いた各種セラピー、セラピストの育成、開発等に努める。フラワーエッセンスの教育では、来談者中心療法を基本としたカウンセリングの講義と実技を指導。
また、心理療法、カウンセリング、ボディワーク、メタフィジカルワークの現場でも活動してきた多彩な経験から、海外のフラワーエッセンス開発者のトレーニングプログラムの構築を援助した経験も持つ。
ハートサポートシステム(有)代表取締役。
大学では、仏教とインド哲学を学ぶ。大学在学中に、ユング派の秋山さと子先生の元でユング心理学を学び、大学内にてユング心理学同好会を主催する。卒業の1ヵ月後にインドに長期滞在し、以後、定期的に渡印しながら、自己の探求を続けると共に、国内外で、様々な心理療法、カウンセリング、ボディワーク、メタフィジカルワークを習得する。

フラワーエッセンスセッション基本内容と姿勢(1)

心理療法としてのフラワーエッセンスセラピーとフラワーエッセンスセラピスト

何十年も前と比べ、現在は様々なフラワーエッセンスが輸入されています。

日本に入って来ていない1980年代からフラワーエッセンスと親しんできた筆者にとって、今の状況は、当時に予測した展開になっていると感じています。

筆者が日本で最初にフラワーエッセンスを導入した当初から手掛けているものに、心理療法としてのフラワーエッセンスセラピーがあります。

フラワーエッセンスは、花の物理的領域―見る・嗅ぐ・味わう・触れる―ではなく、花の内面―エネルギー・生命力・精―を活用したものです。
花の内面の情報を液体にインプットしたフラワーエッセンスは、人の内面に作用します。

当時から心理療法、カウンセリング、ボディワーク、メタフィジカルワークの専門家であった筆者は、人の内面に作用するフラワーエッセンスを心理療法として体系化する可能性に着目し、研究を重ねました。
これは補助的にフラワーエッセンスを使うのではなく、的確なフラワーエッセンスを選ぶ事だけが目的でもなく、心理療法の中心にフラワーエッセンスを置く取り組みです。
そうする事で、多くの方が、フラワーエッセンスの恩恵を多角的に受け取れると確信していました。

ですから、フラワーエッセンスを導入した当初から、筆者はフラワーエッセンスセラピーの名称を使い、一般的なプラクティショナーではなくフラワーエッセンスセラピストを採用しました。
「プラクティショナー」より先に、ハートサポートシステムの活動でフラワーエッセンスセラピストの名称が日本で使われた影響もあったのでしょうか、現在、フラワーエッセンスセラピストの名が拡大している状況を興味深く感じると共に、フラワーエッセンスを体験的に理解する専門家が、心理療法家の立ち位置から、質の高い「セラピー」を提供する重要性も痛感しています。
フラワーエッセンスセラピスト™には、心理療法家としての基本的態度、倫理、知識、経験を有し、フラワーエッセンスの特質をフル活用しながら、クライエントを統合的に援助する事が求められるのです。

人が心理療法を受ける背後には、辛さの軽減、調和、可能性の拡大、内的成長といった、-から0、0から+、時には+を超えた変化への期待があります。

筆者のところにフラワーエッセンスセラピー™を受けに来られるクライエントの1/3は、精神疾患の病名診断があり、少しでもよくなりたいという動機で来られます。
他には、家族関係、いじめ、自分の性格等、解決したい課題があるケースです。
本当に好きな仕事をしたい、生きがいを見つけたいといった未来志向のケースもあります。
更に、自己実現、自己成長を求めて来られるケースもあります。

心理学者マズローの自己実現理論で言うなら、生理的欲求、安全への欲求、親和の欲求、自我の欲求、自己実現の欲求、更に自己超越の欲求の、全階層の方が来られます。

フラワーエッセンスセラピー™のセッション手順

フラワーエッセンスセラピー™の手順を、順を追って説明しましょう。

予約

予約の際、クライエントの負担にならない程度で情報収集し、必要な事前の対応を行います。

例えば、通院や投薬をしている場合、フラワーエッセンスセラピー™を受ける事、フラワーエッセンスと薬の併用について主治医の許可をとり、経過報告するようお願いします。
受けているのなら、カウンセラーにも伝えて頂きます。
何故なら、フラワーエッセンスの使用過程において、特定の状態が一時的に表面に出る場合があり、そこから見立てをし、治療方針や処方を変更される事があるからです。

また、クライエントの自己判断で減薬や断薬をしてしまうと、病状やお薬の種類によっては、良くない影響が出る場合もあるからです。
よくなっていった際の減らし方、止め方の見極めが、難しいお薬もあります。

医療現場では、コンプライアンスからアドヒアランス、コンコーダンスへと、医師と患者の協力の元、治療計画を立てる姿勢になってきています。
医師を中心に、クライエントの安全が保護された状態で、様々な援助を役立てられる環境作りへの協力が大切です。

予約や現場での聞き取りでは、医師が関与する必要があるなら専門治療を勧めます。
状態によっては、セッションしない方がいいケースもあるでしょう。
また、クライエントが重要事柄を主治医に伝えていない事が判明する等、副次的サポートとなる事もあります。

長年行う中、主治医の許可が下りなかったのは数例です。

このように、医学的視点から、病理を基本として病因を特定する医学モデルと、セラピー的な在り方から、「こころ」を基本としてその人を扱う心理学モデルとでは、ポイントが違います。

病理を基準としてなされる医学的診断は、治療プログラムの為のものです。
それに対して、人のこころを扱う背後にある見立ては、医学的診断より広範囲のものです。
社会的要因をはじめ、様々な要素によって変化するそれは、ある意味、診断も包み込みます。
ですから、法的、倫理的には勿論の事、役立てる特質からみても、セッションでは、病理を治す為といった説明はしないのです。

こういった点から見るならば、経験豊かな優れた医師=経験豊かな優れたセラピストであるとは限りませんし、逆もまた言えるでしょう。

クライエントに有益であるよう、それぞれの持ち場の特質と目的を明確にして、高いレベルの援助をし、補い合う事が大切です。

カウンセリング

クライエントとの信頼関係の構築は、出会いの瞬間から始まります。
来て下さった事を歓迎する、傷つけない配慮で生活歴や病歴を聞き取る、クライエントの使った言葉を用いて質問する等、対等関係の中で寄り添った対応を意識します。
セッションでのクライエントの行動の仕方は、初回の関わり方で決まってきます。
気を遣って妥協し、よいクライエントを演じる事もあり得るのです。

フラワーエッセンスの選択にあたり、カウンセリングでテーマ(フラワーエッセンスを使う目的)を明確にしていきます。
傾聴を基本に、必要ならば介入もします。
また、クライエントの状態に応じて、心理教育的なアプローチも行う場合もあるでしょう。

留意する事は、実際的情報はとりながらも、抱えている問題を悪者と捉えたり、その背景を想定したり、クライエントと同化させたりしないという事です。
セッションに来られた時点で、問題意識が状態を長引かせているケースもあります。
定型の枠組みにクライエントをはめ込むのではなく、どのような状況でどんな事が起こっているかを、そのままに見る事を心がけます。

カウンセリングが進んでいくと、「(今の自分が×だから)~をなくしたい」といった引き算の否定形から、「~したい」といった足し算の肯定形のテーマに変化していく事があります。
よくなる前提での未来像を自然に描くようになっていったなら、変化への準備が始まっているとも言えるでしょう。

ただし、設定したテーマが理想像で、本当のニーズでない事もあり得ます。
実際、言葉以外のところにこそ、多くが表現されています。
見えるものを見えるまま、聴こえるものを聴こえるまま、飛躍させたり一般化の枠にはめる事なく寄り添っていると、現れているものの中に、現れていないものが現れていると気づくでしょう。

フラワーエッセンスセラピスト™の基本姿勢として、自分の人間観を押し付けない「知らない姿勢」が大切です。
よくなっていくクライエント自身の力は、本人だけが深いところで知っており、それを信頼して援助します。

「行為者」がいない時、必要な事は自然に起こり始めます。
フラワーエッセンスセラピスト™の在り方は、花が持つ、ただ在る事のアートにも似ています。
花達は、作為なくそれ自身で在る事―Being―で、自ら知る事なく人々を変容する天性の癒し手です。

フラワーエッセンス選択

テーマが確定したらフラワーエッセンスのリーディングに入りますが、セッション提供者として、飲用目的ならば食品として日本の法律を遵守しているブランドを使います。

的確なフラワーエッセンスを選ぶ事が主な目的ですので、クライエントが居心地よく、かつ機能するのであれば、世界中でフラワーエッセンスに使われるどんな技法でも構いません。
技法の特性を活かせば、心理療法の深みを補助する事も出来ます。

例えば、ペンジュラムは、薬で本来の感情が抑えられている場合、話す事が困難な場合(動物、乳児も含む)でも、的確な種類を選べます。
繊細な状態のクライエントには、「初期反応(浄化反応)が起こらない種類から選ぶ」等の条件設定をする事も可能です。
習熟すると、ペンジュラムに意図を持たせ、内面観察のツールとしても活用出来るでしょう。

気軽にフラワーエッセンスを選ぶ技法の楽しみ方もありますが、フラワーエッセンスの作用を多角的に扱うフラワーエッセンスセラピー™では、フラワーエッセンスの選択はセッション内の1ステージに位置付けられます。

メタフィジカルワーク

このステージでは、「フラワーエッセンスのボトル自体が花の生命力を帯びている」特質を活用します。

選ばれたフラワーエッセンスのボトルを横になったクライエントのエネルギーポイントに置いたり、オリジナルツールの「エネルギーペネトレーションペンダント(EPP)」を使用したりして、花の生命力を全身に浸透させ、バランスを取ります。チャクラやエネルギーボディー(サトルボディー)といったメタフィジカル解剖学の専門知識と技法が必要とされますが、特殊能力ではなく、フラワーエッセンスセラピスト™の基本姿勢を認識し、習熟する事で、誰もが施術出来るようになる可能性を携えています。

自然の中で花に囲まれると、くつろいだり元気になったりするように、クライエントは花の生命力によって深いリラクセーションに入り、自己治癒力が活性化します。フラワーエッセンスセラピー™ならではのこの働きかけは、日常に戻ってからのフラワーエッセンスの使用プロセスを格段にスムーズにもしてくれます。

締めくくりに、クライエントが自宅でフラワーエッセンスを使っていく後押しとして、言葉かけによる誘導を行います。
それ迄の作業でクライエントはトランスに入っている為、テーマの実現や行動化に役立ちます。

シェアリング

座位に戻り、テーマ、リーディングされたフラワーエッセンス、反応したエネルギーポイント等からの見立てを、各フラワーエッセンスの作用とからめて説明し、クライエントと話し合います。
単に選ばれたフラワーエッセンスを説明するのではなく、クライエントに起こっている「状態の地図」を紐解く作業によって、自己理解と洞察を深めます。
クライエントが日々フラワーエッセンスを使用し、プロセスを進んでいく頼もしい動機付けともなるでしょう。

フラワーエッセンスのブランドによってはタイプ別分類がありますが、フラワーエッセンスセラピー™では、ブランドの特徴を活かしながらも、とりわけネガティブな極での「あなたは○タイプ」といった決め付け、あるいは「問題の原因追究」的な立ち位置からは、フラワーエッセンスを説明しないよう配慮します。
クライエントは、内的状態や病理性と同化する事で問題意識を感じ、セッションに来られています。
それを別の問題意識で置き換え、型にはめる事はしないのです。問題意識を感じながらも、現在と未来をどう生きるかというところで来ている、クライエントのよくなる力を援助します。

また、状態に応じて、役立つエクササイズをご紹介します。

また、状態によっては、医療におけるセカンドオピニオンを提案する事もあるでしょう。

フォローアップ

書面や再セッションで、クライエントの希望によって、その後の経過について聞き取りをしたり、今後について話し合ったりする等、必要なフォローを行います。

フラワーエッセンスセラピー™の今後

このようにフラワーエッセンスセラピー™では、フラワーエッセンスの多次元的作用を活用し、多角的にクライエントを援助します。
予約→セッション→フラワーエッセンス使用→フォローアップの相乗作用全体が、フラワーエッセンスセラピー™なのです。

また、セッション後、クライエントはフラワーエッセンスを使用し、プロセスを進みます。
ですから、フラワーエッセンスセラピスト™は、鳥瞰的に観察しながらも、毎回のセッション現場を完成されたものとして扱います。
テーマを明確にし、今回のセッションにどんな事を期待するか、どのように役立てられればいいか、今日はどうなってセッションルームを出て行きたいかを確認し、進めていきます。

フラワーエッセンスセラピー™を行うようになった援助職者から、クライエントのプロセスが早くなったというフィードバックを多く頂きます。
フラワーエッセンスの存在自体が、クライエントの抵抗を軽減するクッションにもなってくれるようです。
人と人の出会いの場に、無理強いしない花の―Being―が寄り添う事で、クライエントの潜在性が開花するスペースが自然に生まれるのかもしれません。
フラワーエッセンスセラピスト™は、感情レベルでクライエントの手を握り共に進むのではなく、クライエントが自由であるスペースを提供し、自らの力で進んでいく合図を送り、寄り添います。

また、援助職者も自己ケアとしてフラワーエッセンスを使用する事で、心身の健康維持に役立てています。フラワーエッセンスセラピー™は、双方をサポートする事が出来るのです。

より深く観ていくと、この世界の花の在り方自体から、どのように人生と付き合っていくかのインスピレーションを、フラワーエッセンスという形態を通して、私達は受け取っているのかもしれません。

*よろしければ、フラワーエッセンスに関するご質問の全般内、【質問11】も参考になさって下さい。

〔執筆者:パビットラ(中沢あつ子)〕
フラワーエッセンス開発者、指導家。富士山周辺に咲く花から日本で最初にマウントフジフラワーエッセンスを開発。日本で初めてバッチフラワーエッセンスを導入。日本におけるフラワーエッセンスの先駆的役割を果たし、ハートサポートシステム(有)にて、フラワーエッセンスを用いた各種セラピー、セラピストの育成、執筆、開発等に努める。ハートサポートシステム(有)取締役。日本フラワーエッセンス協会®会長。著書に「マウントフジフラワーエッセンスとエネルギーの世界―花の”Being”―」、海外翻訳もされた日本人初のバッチフラワーエッセンスの書籍「バッチ博士のフラワーエッセンスガイドブック」(共にフレグランスジャーナル社刊)がある。