心理療法としてのフラワーエッセンスセラピー™とフラワーエッセンスセラピスト™
何十年も前と比べ、現在は様々なフラワーエッセンスが輸入されています。
日本に入って来ていない1980年代からフラワーエッセンスと親しんできた筆者にとって、今の状況は、当時に予測した展開になっていると感じています。
筆者が日本で最初にフラワーエッセンスを導入した当初から手掛けているものに、心理療法としてのフラワーエッセンスセラピー™があります。
フラワーエッセンスは、花の物理的領域―見る・嗅ぐ・味わう・触れる―ではなく、花の内面―エネルギー・生命力・精―を活用したものです。
花の内面の情報を液体にインプットしたフラワーエッセンスは、人の内面に作用します。
当時から心理療法、カウンセリング、ボディワーク、メタフィジカルワークの専門家であった筆者は、人の内面に作用するフラワーエッセンスを心理療法として体系化する可能性に着目し、研究を重ねました。
これは補助的にフラワーエッセンスを使うのではなく、的確なフラワーエッセンスを選ぶ事だけが目的でもなく、心理療法の中心にフラワーエッセンスを置く取り組みです。
そうする事で、多くの方が、フラワーエッセンスの恩恵を多角的に受け取れると確信していました。
ですから、フラワーエッセンスを導入した当初から、筆者はフラワーエッセンスセラピー™の名称を使い、一般的なプラクティショナーではなくフラワーエッセンスセラピスト™を採用しました。
「プラクティショナー」より先に、ハートサポートシステムの活動でフラワーエッセンスセラピスト™の名称が日本で使われた影響もあったのでしょうか、現在、フラワーエッセンスセラピスト™の名が拡大している状況を興味深く感じると共に、フラワーエッセンスを体験的に理解する専門家が、心理療法家の立ち位置から、質の高い「セラピー」を提供する重要性も痛感しています。
フラワーエッセンスセラピスト™には、心理療法家としての基本的態度、倫理、知識、経験を有し、フラワーエッセンスの特質をフル活用しながら、クライエントを統合的に援助する事が求められるのです。
人が心理療法を受ける背後には、辛さの軽減、調和、可能性の拡大、内的成長といった、-から0、0から+、時には+を超えた変化への期待があります。
筆者のところにフラワーエッセンスセラピー™を受けに来られるクライエントの1/3は、精神疾患の病名診断があり、少しでもよくなりたいという動機で来られます。
他には、家族関係、いじめ、自分の性格等、解決したい課題があるケースです。
本当に好きな仕事をしたい、生きがいを見つけたいといった未来志向のケースもあります。
更に、自己実現、自己成長を求めて来られるケースもあります。
心理学者マズローの自己実現理論で言うなら、生理的欲求、安全への欲求、親和の欲求、自我の欲求、自己実現の欲求、更に自己超越の欲求の、全階層の方が来られます。
フラワーエッセンスセラピー™のセッション手順
フラワーエッセンスセラピー™の手順を、順を追って説明しましょう。
予約
予約の際、クライエントの負担にならない程度で情報収集し、必要な事前の対応を行います。
例えば、通院や投薬をしている場合、フラワーエッセンスセラピー™を受ける事、フラワーエッセンスと薬の併用について主治医の許可をとり、経過報告するようお願いします。
受けているのなら、カウンセラーにも伝えて頂きます。
何故なら、フラワーエッセンスの使用過程において、特定の状態が一時的に表面に出る場合があり、そこから見立てをし、治療方針や処方を変更される事があるからです。
また、クライエントの自己判断で減薬や断薬をしてしまうと、病状やお薬の種類によっては、良くない影響が出る場合もあるからです。
よくなっていった際の減らし方、止め方の見極めが、難しいお薬もあります。
医療現場では、コンプライアンスからアドヒアランス、コンコーダンスへと、医師と患者の協力の元、治療計画を立てる姿勢になってきています。
医師を中心に、クライエントの安全が保護された状態で、様々な援助を役立てられる環境作りへの協力が大切です。
予約や現場での聞き取りでは、医師が関与する必要があるなら専門治療を勧めます。
状態によっては、セッションしない方がいいケースもあるでしょう。
また、クライエントが重要事柄を主治医に伝えていない事が判明する等、副次的サポートとなる事もあります。
長年行う中、主治医の許可が下りなかったのは数例です。
このように、医学的視点から、病理を基本として病因を特定する医学モデルと、セラピー的な在り方から、「こころ」を基本としてその人を扱う心理学モデルとでは、ポイントが違います。
病理を基準としてなされる医学的診断は、治療プログラムの為のものです。
それに対して、人のこころを扱う背後にある見立ては、医学的診断より広範囲のものです。
社会的要因をはじめ、様々な要素によって変化するそれは、ある意味、診断も包み込みます。
ですから、法的、倫理的には勿論の事、役立てる特質からみても、セッションでは、病理を治す為といった説明はしないのです。
こういった点から見るならば、経験豊かな優れた医師=経験豊かな優れたセラピストであるとは限りませんし、逆もまた言えるでしょう。
クライエントに有益であるよう、それぞれの持ち場の特質と目的を明確にして、高いレベルの援助をし、補い合う事が大切です。
カウンセリング
クライエントとの信頼関係の構築は、出会いの瞬間から始まります。
来て下さった事を歓迎する、傷つけない配慮で生活歴や病歴を聞き取る、クライエントの使った言葉を用いて質問する等、対等関係の中で寄り添った対応を意識します。
セッションでのクライエントの行動の仕方は、初回の関わり方で決まってきます。
気を遣って妥協し、よいクライエントを演じる事もあり得るのです。
フラワーエッセンスの選択にあたり、カウンセリングでテーマ(フラワーエッセンスを使う目的)を明確にしていきます。
傾聴を基本に、必要ならば介入もします。
また、クライエントの状態に応じて、心理教育的なアプローチも行う場合もあるでしょう。
留意する事は、実際的情報はとりながらも、抱えている問題を悪者と捉えたり、その背景を想定したり、クライエントと同化させたりしないという事です。
セッションに来られた時点で、問題意識が状態を長引かせているケースもあります。
定型の枠組みにクライエントをはめ込むのではなく、どのような状況でどんな事が起こっているかを、そのままに見る事を心がけます。
カウンセリングが進んでいくと、「(今の自分が×だから)~をなくしたい」といった引き算の否定形から、「~したい」といった足し算の肯定形のテーマに変化していく事があります。
よくなる前提での未来像を自然に描くようになっていったなら、変化への準備が始まっているとも言えるでしょう。
ただし、設定したテーマが理想像で、本当のニーズでない事もあり得ます。
実際、言葉以外のところにこそ、多くが表現されています。
見えるものを見えるまま、聴こえるものを聴こえるまま、飛躍させたり一般化の枠にはめる事なく寄り添っていると、現れているものの中に、現れていないものが現れていると気づくでしょう。
フラワーエッセンスセラピスト™の基本姿勢として、自分の人間観を押し付けない「知らない姿勢」が大切です。
よくなっていくクライエント自身の力は、本人だけが深いところで知っており、それを信頼して援助します。
「行為者」がいない時、必要な事は自然に起こり始めます。
フラワーエッセンスセラピスト™の在り方は、花が持つ、ただ在る事のアートにも似ています。
花達は、作為なくそれ自身で在る事―Being―で、自ら知る事なく人々を変容する天性の癒し手です。
フラワーエッセンス選択
テーマが確定したらフラワーエッセンスのリーディングに入りますが、セッション提供者として、飲用目的ならば食品として日本の法律を遵守しているブランドを使います。
的確なフラワーエッセンスを選ぶ事が主な目的ですので、クライエントが居心地よく、かつ機能するのであれば、世界中でフラワーエッセンスに使われるどんな技法でも構いません。
技法の特性を活かせば、心理療法の深みを補助する事も出来ます。
例えば、ペンジュラムは、薬で本来の感情が抑えられている場合、話す事が困難な場合(動物、乳児も含む)でも、的確な種類を選べます。
繊細な状態のクライエントには、「初期反応(浄化反応)が起こらない種類から選ぶ」等の条件設定をする事も可能です。
習熟すると、ペンジュラムに意図を持たせ、内面観察のツールとしても活用出来るでしょう。
気軽にフラワーエッセンスを選ぶ技法の楽しみ方もありますが、フラワーエッセンスの作用を多角的に扱うフラワーエッセンスセラピー™では、フラワーエッセンスの選択はセッション内の1ステージに位置付けられます。
メタフィジカルワーク
このステージでは、「フラワーエッセンスのボトル自体が花の生命力を帯びている」特質を活用します。
選ばれたフラワーエッセンスのボトルを横になったクライエントのエネルギーポイントに置いたり、オリジナルツールの「エネルギーペネトレーションペンダント(EPP)」を使用したりして、花の生命力を全身に浸透させ、バランスを取ります。チャクラやエネルギーボディー(サトルボディー)といったメタフィジカル解剖学の専門知識と技法が必要とされますが、特殊能力ではなく、フラワーエッセンスセラピスト™の基本姿勢を認識し、習熟する事で、誰もが施術出来るようになる可能性を携えています。
自然の中で花に囲まれると、くつろいだり元気になったりするように、クライエントは花の生命力によって深いリラクセーションに入り、自己治癒力が活性化します。フラワーエッセンスセラピー™ならではのこの働きかけは、日常に戻ってからのフラワーエッセンスの使用プロセスを格段にスムーズにもしてくれます。
締めくくりに、クライエントが自宅でフラワーエッセンスを使っていく後押しとして、言葉かけによる誘導を行います。
それ迄の作業でクライエントはトランスに入っている為、テーマの実現や行動化に役立ちます。
シェアリング
座位に戻り、テーマ、リーディングされたフラワーエッセンス、反応したエネルギーポイント等からの見立てを、各フラワーエッセンスの作用とからめて説明し、クライエントと話し合います。
単に選ばれたフラワーエッセンスを説明するのではなく、クライエントに起こっている「状態の地図」を紐解く作業によって、自己理解と洞察を深めます。
クライエントが日々フラワーエッセンスを使用し、プロセスを進んでいく頼もしい動機付けともなるでしょう。
フラワーエッセンスのブランドによってはタイプ別分類がありますが、フラワーエッセンスセラピー™では、ブランドの特徴を活かしながらも、とりわけネガティブな極での「あなたは○タイプ」といった決め付け、あるいは「問題の原因追究」的な立ち位置からは、フラワーエッセンスを説明しないよう配慮します。
クライエントは、内的状態や病理性と同化する事で問題意識を感じ、セッションに来られています。
それを別の問題意識で置き換え、型にはめる事はしないのです。問題意識を感じながらも、現在と未来をどう生きるかというところで来ている、クライエントのよくなる力を援助します。
また、状態に応じて、役立つエクササイズをご紹介します。
また、状態によっては、医療におけるセカンドオピニオンを提案する事もあるでしょう。
フォローアップ
書面や再セッションで、クライエントの希望によって、その後の経過について聞き取りをしたり、今後について話し合ったりする等、必要なフォローを行います。
フラワーエッセンスセラピー™の今後
このようにフラワーエッセンスセラピー™では、フラワーエッセンスの多次元的作用を活用し、多角的にクライエントを援助します。
予約→セッション→フラワーエッセンス使用→フォローアップの相乗作用全体が、フラワーエッセンスセラピー™なのです。
また、セッション後、クライエントはフラワーエッセンスを使用し、プロセスを進みます。
ですから、フラワーエッセンスセラピスト™は、鳥瞰的に観察しながらも、毎回のセッション現場を完成されたものとして扱います。
テーマを明確にし、今回のセッションにどんな事を期待するか、どのように役立てられればいいか、今日はどうなってセッションルームを出て行きたいかを確認し、進めていきます。
フラワーエッセンスセラピー™を行うようになった援助職者から、クライエントのプロセスが早くなったというフィードバックを多く頂きます。
フラワーエッセンスの存在自体が、クライエントの抵抗を軽減するクッションにもなってくれるようです。
人と人の出会いの場に、無理強いしない花の―Being―が寄り添う事で、クライエントの潜在性が開花するスペースが自然に生まれるのかもしれません。
フラワーエッセンスセラピスト™は、感情レベルでクライエントの手を握り共に進むのではなく、クライエントが自由であるスペースを提供し、自らの力で進んでいく合図を送り、寄り添います。
また、援助職者も自己ケアとしてフラワーエッセンスを使用する事で、心身の健康維持に役立てています。フラワーエッセンスセラピー™は、双方をサポートする事が出来るのです。
より深く観ていくと、この世界の花の在り方自体から、どのように人生と付き合っていくかのインスピレーションを、フラワーエッセンスという形態を通して、私達は受け取っているのかもしれません。
*よろしければ、フラワーエッセンスに関するご質問の全般内、【質問11】も参考になさって下さい。
〔執筆者:パビットラ(中沢あつ子)〕
フラワーエッセンス開発者、指導家。富士山周辺に咲く花から日本で最初にマウントフジフラワーエッセンスを開発。日本で初めてバッチフラワーエッセンスを導入。日本におけるフラワーエッセンスの先駆的役割を果たし、ハートサポートシステム(有)にて、フラワーエッセンスを用いた各種セラピー、セラピストの育成、執筆、開発等に努める。ハートサポートシステム(有)取締役。日本フラワーエッセンス協会®会長。著書に「マウントフジフラワーエッセンスとエネルギーの世界―花の”Being”―」、海外翻訳もされた日本人初のバッチフラワーエッセンスの書籍「バッチ博士のフラワーエッセンスガイドブック」(共にフレグランスジャーナル社刊)がある。