澄み渡った空の下で、地上の緑が赤や黄に色づくこの季節には、
誰もが、この国に四季の移ろいがあった事を思い出します。
不思議な懐かしさと淋しさの中で、人生という時の旅路にも四季があった事も、
思い出されるでしょうか。
誕生と芽吹き、祝福の春、
盛りへと燃え上がり、突き進む夏、
熟成し、深みを重ねる秋、
振り返り、新たな旅立ちに向かう冬。
この国の四季は、循環します。
この年の秋が終わっても、次の年になると、また秋はやって来ます。
でも、時と共に年を重ねる、私達のこの生の、春・夏・秋・冬は、たった一度きり。
紅葉を迎えた後、再び緑に戻る事はないのです。
今、二度と繰り返されないどの季節にいたとしても、
その季節の色を、思いっきり生ききる事が出来ます。
だから、本当は、いつだって遅すぎる事はないのです。
パビットラ(中沢あつ子)